-Costanza 1-

 8日のヴァチカンのミサは期待していた程ではなかった。 宗教的には素晴らしい物であったかもしれないが、私のように見た目の素晴らしさを求める者にとっては あまり感動はなかった。
 9日の朝にRome3・4の話を書いていたら出発が昼になってしまった。 ピサは’Aurelia’(東海道のようなもの)を行けば着くらしい。 巨大なドームのある’St.Pietro大聖堂’の横からその道は続いている。 何度も来たヴァチカンもこれで見納めかと思い、記念撮影をする。 2時頃に出発してその道を進んでいくと、分かれ道が多く迷ったが、一番大きな道を選んで進んでいった。 しばらくこいで坂を登り、下って、天気も悪くなってきて早めにテントサイトを探そうと思っても、 中々街をぬけない。2時間走って、「おかしいな、こんなにローマは広いのかいな」と思った矢先、 下り坂の前に見えた建物の真ん中に見えた建物、それは’St.Pietro大聖堂’だった。
「俺は2時間何のために走ったんだ!!」
数式で表すと狽秩≠O。どうもローマの道は全てローマにつながっているらしい。 西洋の都市構造として中心地から放射状に道が伸び、また中心地の同心円状に道がある。 その同心円状の道に迷い込み、また放射状の道を通ってヴァチカンに戻って来たみたいだ。
参った。しばらく奮闘して何とかローマ市内の大きな公園を見つけて寝ることにした。 入り口には看板があって、その中に’non tentica’と書いてあった。 何かやな予感がしたので、見なかったことにした。

 翌日朝から雨だった。「動きたくねえ!」ので一日テントの中ですごすことにした。 すると昼頃すぐそばで声が。
「Buon jorno.」の声で起こされた。イタリア人が立っている。何か言っている。
「non tentica.」ああ、やっぱりね。
「Can you speak English?」と聞かれて「はい」と答える。
「本当はいけないんだがいいよ、張っていなさい。他の人が来るまでは。」と言ってくれた。
「ありがとうございます、昨日夕方から雨が降って泊まる所に困っていたので。」
 2、3これから北イタリアへ向かうことや、自転車の事など、会話が続いた。 雨も止んでいる事に気付いた。
「私出発します、雨も止んだし。でも天気が気になります。今日の天気わかります?」その人は答えた。
「今日は北部イタリアの天気は良く、南へ行くほど悪いそうだ。南は一日中雨で、 北部イタリアなら大丈夫だ。」
「それは良かった、私は北部イタリアへこれから行くんです。」
「しかし君は北部へ行くのにどれだけかかるんだ?」
「3日間です。」
二人顔を見合わせて笑った。そして彼は言った。
「君がパッキングしている間に俺はちょっと走ってくるよ、今日はランニングしに来たんだ。 帰ってきたら僕のメールアドレスを教えよう。旅行中困ったら連絡してくれ。」
そう言って走り去っていった。私も出発の準備をした。その人は走り終えて来た。
「お腹が減っていないか、走るためにはお腹を一杯にしないと。 家へ来て昼御飯を一緒に食べよう、もっとも妻がいいと言ったらだけど。 ここで待っていてくれ、聞いてくるから。」
と言ってその人はまた走っていった。数分してその人はバイクで現れた。
「後ろについて来てくれ。」ついてその人の家に向かうことになった。

to be continued…